遮熱工事といえば、屋根に遮熱材を直接貼る工法が主流でした。遮熱材は薄いアルミニウムのシートでできており、遮熱材を建物の屋根全体や壁に施工すれば、外気温が38℃の場合でも室内では28℃程度になり、エアコンゼロでも涼しい室内環境を実現できていました。
これは、遮熱材を屋根や壁に貼ることによって、熱量が大きい輻射熱を反射させてカットすることで室内に侵入する熱を抑えるという手法です。昼間室内に溜まった熱が天井付近に滞留し時間の経過とともに加速度的に屋根の温度を上げてしまうこともありましたが、夜になると屋外に放出され、朝には元の状態に戻ることができていました。なぜなら、熱は暖かいほうから寒いほうに移動する性質があるからです。
しかし、近年の異常な気温上昇によって環境は一変しました。
外気温は体温よりも高く、日陰も涼しくありません。夜になっても気温は室温より高く、エアコンを1日中、ひと夏中稼働させていないと日常生活ができない状況です。
つまり、熱は1日中屋外から室内に向かって侵入し続け、建物内に滞留する熱は増加するばかりです。この熱をいかに少なくするかが重要なカギとなってくるのです。
「遮熱材」の開発や施工を手掛ける日本遮熱(栃木県足利市)は、熱の反射と通気を組み合わせて遮熱材を貼った新しい屋根を、日傘のように既存の屋根にかぶせる「遮熱鋼板ラップ工法」という遮熱工法を開発しました。省エネルギー60%・熱中症患者0%・作業効率UP10%を目的に開発された工法です。
屋外からの輻射熱は新規の金属屋根材で10%程度反射されますが、残りの90%程度は新規金属屋根材に吸収されます。しかし、新規金属屋根材の室内側には反射率95%以上のアルミの遮熱材(トップヒートバリアー)が施工されており、大半はここで阻止され屋外側に放射されます。
その結果、遮熱材の室内側にはごくわずかな熱しか侵入しません。この空間は狭小空間ですが、通気をすることによって昇温を防止し遮熱材の低放射性能を維持します。
一方、天井付近には高温の熱が滞留していますが、通気層の温度の方が低いので、通気層を通って屋外に排出されます。
この結果、既存の屋根材から室内側に放射される輻射熱も大幅に低下し、大きな省エネ効果を生み出すことができます。
遮熱鋼板ラップ工法では、通気道を通過する空気の温度を24時間コントロールできる装置(24時間壁温コントロールユニット)を搭載しています。
遮熱鋼板ラップ工法は、夏は涼しく冬は暖かい省エネ工法で、使用エネルギーはゼロのカーボンニュートラル対応です。
24時間壁温コントロールユニットは、屋根や壁面の通気道の出入口のいずれかに設けられ、通気層内を通り排出される空気の温度を感知し、この空間を流れる空気量を自動的に調整する装置です。形状記憶合金をスライド型ユニットに組み込んだもので、+18℃で全閉、+28℃で全開します。24時間、年中開閉することによって、室内の冷暖房費を常に抑えられるようにしています。
このシステムが完成したことで、寒冷地でも遮熱鋼板ラップ工法が十分に機能できるようになりました。
遮熱鋼板ラップ工法による遮熱工事について
日本遮熱の公式サイトでもっと詳しく知る
このプラスチック製品工場では、殆どの工場の屋根に太陽光パネルが載っていますが、室内環境は非常に悪い状態でした。唯一残っていた倉庫に、遮熱鋼板ラップ工法を施工しました。
倉庫という環境なので、人の出入りが少なく空調もついていません。夏場は倉庫内がムワっとするくらい非常に暑くなるため、製品へも悪影響があったとのことです。
遮熱材トップヒートバリアーを使用した遮熱鋼板ラップ工法の施工後は、驚くほど倉庫内の暑さが軽減されました。似たような倉庫がいくつかありますが、明らかにここだけ体感が違っていて、涼しいとさえ感じるとのこと。他の倉庫で働く従業員の方から自分のところも施工してほしいと言っていただき、ゼロエネルギーによる環境改善を目の当たりにしました。
年間を通して室温20℃設定の精密機械工場、折板屋根の間に断熱材を入れた二重屋根構造のダブルパックという工法で施工したそうですが、夏場の効果が認められなかったとのこと。更に、その上に遮熱塗装を施工したそうですが、熱の影響で塗装がボロボロに割れて雨樋一杯に詰まってしまったということでです。
結果的に、夏場の省エネ効果は望めなかったということで、遮熱鋼板ラップ工法を既存の屋根の上から施工しました。
ダブルパック方式は、冬場の効果があり年間を通して24%位と考えられます。
遮熱鋼板ラップ工法は、その上に施工しましたが、それでも40%の省エネを生む事が出来ました。
※参照元
日刊工業産業新聞公式サイト(2024.04.17付ニュース)(https://biz.nikkan.co.jp/sanken/shingizyutu/36shingizyutu.html)
【PDF】日刊工業産業新聞公式サイト(https://biz.nikkan.co.jp/sanken/shingizyutu/36th.pdf)
◆日本遮熱は2024年5月、足利市内に遮熱鋼板ラップ工法を体感できる「遮熱健康住宅体感試験棟」をオープンしました。実際に遮熱鋼板ラップ工法の効果を体感することができます。暑い夏場に体験してみてはいかがでしょうか。
日本遮熱は2008年の設立以来、「遮熱」に特化した会社です。工場や店舗などの法人向け遮熱工事をはじめ、一般住宅や農業用など、遮熱ひと筋に研究を重ねて高性能な遮熱材や遮熱工法を開発、製造販売しています。
研究開発においては足利大学とも連携、多くの特許取得・受賞歴を誇ります。工場などの作業環境の改善のほか、「シャネボウ」をはじめとした熱中症対策グッズも開発・販売しています。
本社所在地 | 栃木県足利市五十部町185-2 |
---|---|
創業/設立 | 2008年9月設立 |
事業内容 | 工場、店舗、住宅等遮熱工事・遮熱材建材の製造販売 |
問合せ | 0284-22-8740 |