断熱との違い

遮熱と断熱は、どちらも建物内部の熱環境を快適にするための技術ですが、そのメカニズムや効果が異なります。

そもそも遮熱と断熱の目的の違いは？

遮熱

おもに夏季における室温上昇を抑えて、冷房負荷を軽減するのが目的です。日射による熱を室内に入れないことで、涼しい室内環境を実現します。熱を跳ね返して室内に伝えないのが目的ですが、工法によっては、冬の冷気を入れず室内の暖かさを逃さない効果も実現可能になっています。

断熱

年間を通して室内の温度を一定に保ち、冷暖房費を節約する目的があります。冬は暖房熱を逃がさず、夏は外気からの熱を侵入させないことで、快適な室内環境を実現します。

遮熱と断熱のメカニズムの違い

断熱は主に空気の層を多く含む繊維系の断熱材を使用して、熱の伝わり方・逃げ方を遅くする働きがあります。断熱材を屋根裏や壁などに施工することで、暑い空気を侵入させにくくしたり、部屋の中の暖かい空気を逃がしにくくする働きをします。
一方遮熱は熱を遮るのが目的で、外からの熱を反射させて侵入させない働きをします。本メディアで取り上げている遮熱材は、いずれも輻射熱の反射率90％台となっています。

遮熱

太陽光（日射）による熱を吸収しないように反射させることで、室内への熱の侵入を抑制します。遮熱シートなどの遮熱材を屋根や外壁に施工したり、遮熱塗料を塗布したりするのが一般的です。各社より効果のある工法を開発しており、遮熱シートの上から金属屋根でカバーする方法なども行われています。

断熱

熱の伝わり方を抑制することで、室内の熱を外に逃がさず、外からの熱を室内に侵入させないようにします。壁、天井、床などに断熱材を施工することで効果を発揮します。
代表的な断熱材としては、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ポリスチレンフォームなどがあります。

そのほかの違い

遮熱

新築時だけでなく、既存の建物にも施工できます。ただし、既存の建物に施工する場合には、建物状況によっては施工できない場合があります。 施工方法や使用する材料によって費用が異なりますが、一般的には断熱よりも費用が安くなります。

断熱

新築時だけでなく、既存の建物にも施工できます。 施工方法や使用する材料によって費用が異なりますが、一般的には遮熱よりも費用が高くなります。

まとめ

遮熱と断熱は、それぞれ単独で施工するだけでなく、組み合わせて施工することでより効果を発揮することができます。

遮熱と断熱は、建物の熱環境を快適に保ち、省エネを実現するために重要な技術です。輻射熱をカットする効果が高いのは遮熱材を使用した工事です。