この記事では、工場における結露対策についてわかりやすく解説。結露ができる仕組みや原因、そして想定されるトラブルと対策についてまとめています。
空気に含まれる水蒸気が液体に変化することで発生するのが、結露です。機械などの設備が多い工場では特に、結露が生じやすい条件が整っています。機械が発する熱や外部のあたたかい空気により工場内の温度および湿度が高くなり、あたたかく湿った空気が窓ガラスなどの冷たい部分に触れ、結露が生じるためです。
また、季節や地域の気候、さらに工場の構造など、他のさまざまな条件によっても結露の生じやすさが変化することも覚えておきましょう。
空調システムの効率が悪いと、結露が生じやすくなります。温度や湿度を管理するための空調システムが思うように機能しなければ、おのずと適切な空調を維持することも難しくなります。空調システムが古かったり、あるいは工場の設計や設備、ニーズなどに適していなかったりすると、充分に機能しにくくなるため、注意が必要です。
工場の天井が高すぎると、そのことによっても結露発生のリスクが高まります。上部に温かい空気がたまり、下部には冷たい空気がたまり、その状態が維持されて温度差が生じるため、結果として結露の発生を招いてしまうのです。寒さの厳しい冬場は特に、外部の冷たい空気が工場内に入り込むため、より温度差が生じやすい状態になります。
換気しにくい工場も、結露が生じやすいので要注意です。特に、商品の品質や衛生状態を維持するため意図的に窓の少ない設計になっている工場の場合、空気の流れやスムーズな循環が制限され、空気が滞留してしまいます。その結果、湿度が上昇してしまうのです。
カビの発生や設備へのダメージ・腐食など、さまざまなリスクの原因になってしまうため、換気システムの改善などを検討することが大切です。
工場内にカビが増殖しやすくなります。悪臭の原因になるだけでなく、工場内にストックしてある商品や設備機器などに大きいなダメージを及ぼす可能性があるため、要注意です。衛生環境の維持や品質管理という観点から、迅速に改善する必要があります。
また、カビは結露が生じている箇所だけでなく、天井や壁などを含む広範囲にわたりダメージを与えます。その結果、構造的な劣化につながるリスクも否定できないのです。
結露は、ダニやゴキブリといった害虫の発生原因にもなりかねません。これらの害虫は高温多湿な環境を好むことから、一度発生してしまうと、卵を産んで増殖していくおそれがあります。特に、食品製造工場や製薬工場の場合、害虫が商品に混入するなどの事態は何としても避けたいところです。
また、シロアリにも注意が必要です。機械や設備にとどまらず、建物自体もダメージを受けることになってしまいます。そういった状況になるのを回避するためにも、結露が生じないように工場内の環境を調整する必要があるのです。
結露が生じやすい状態を放置しておくと、建物の劣化や腐食につながります。建材に水分が溜まって腐食すると、膨張し、さらに錆びが発生します。そうなると、雨漏りが始まってしまう可能性も否定できません。
劣化の程度が軽いうちに修繕するほうが、修繕にかかる費用もおさえられるので、早めに対処しておくのが得策だといえます。
工場内で作業する従業員へのリスクもあります。
たとえば、カビが繁殖すると、肺炎を引きここしたりアレルギーを誘発したりする可能性が高まるのです。ダニについても同様のリスクがあります。また、床面が滑りやすい状態になっていると、転倒によるケガのリスクも高まります。
また、健康被害だけでなく、従業員の作業効率の低下を招くおそれも危惧されます。湿度の高い不快な環境では、効率よく作業をこなしていくモチベーションを維持するのは難しいでしょう。
食品工場などでは換気を自由におこなうことは難しい場合もありますが、可能な限り窓を開け、空気の滞留を防ぎ循環をうながすための換気をすることが大切です。
工場であっても、一般住宅と同様に、対角線上にある窓を2箇所以上開けると空気の通り道ができるため、効率よく換気できます。空気がこもりやすい設計や構造になっている工場では特に、こまめな換気を心がけ、結露の発生を防止するようにしましょう。
結露の発生をおさえるために、除湿剤や業務用除湿器を工場内に設置する方法も効果的です。もちろん、一般住宅などと異なり、工場は空間面積が比べものにならないほど広い場合が多いため、ドラッグストアなどで購入することのできる家庭用の除湿剤では不充分でしょう。業務用に特化した大型の除湿剤や除湿器を選択する必要があります。
工場で作業している従業員の熱中症対策や工場の湿度調整などに効果を発揮すると考えられている「シーリングファン」。天井に設置する大型の扇風機のことです。天井で大きな羽根がゆっくりと回転するのが特徴です。
工場は構造的に湿気がこもりやすいため、シーリングファンを導入することで、工場内の空気の循環をうながし、湿度をおさえ、結露の発生を防止しやすくなります。また、熱さの厳しい夏場などは特に、作業環境がより快適になるため、従業員のモチベーションアップにつながるというメリットもあります。
結露防止シートを使用して結露対策をする方法もあります。結露は室内外の温度差などにより生じやすくなるため、結露防止シートを窓に貼りつけて断熱性を高めておけば、温度差を小さくすることが可能になるわけです。
ただし、一般住宅と異なり工場のように広い設備だと、窓に結露防止シートを貼るだけでは大きな効果を得るのは難しい場合もあります。そのため、複数の対策を同時に実行することで、結露の発生を食い止める工夫が必要です。こまめな換気を心がけ、さらに業務用の除湿剤や除湿器を導入するなどして対策しましょう。
太陽熱を反射あるいは吸収する効果のある遮熱シート。工場内に熱が侵入するのを防ぐために用いられる遮熱シートですが、結露対策としても効果的に利用できます。遮熱シートにより工場内外の温度差を縮められるため、結露発生リスクをおさえられるのです。
遮熱シートというと、スカイ工法で天井に貼り付けていく施工をイメージする方が多いかもしれませんが、天井や壁などに貼り付けて、結露が生じにくい環境をつくるためのアイテムとしても活用できます。
※参照元
日刊工業産業新聞公式サイト(2024.04.17付ニュース)(https://biz.nikkan.co.jp/sanken/shingizyutu/36shingizyutu.html)
※このサイトで紹介している会社は、Googleで2024年3月30日時点で「遮熱工事」で検索し表示される会社のうち以下の条件に当てはまる会社
➊遮熱工事の具体的な内容(遮熱材や工法の情報)が公式サイトに記載のある会社
➋施工場所の業務や工場の稼働などに影響のない工法(建物内ではなく「屋根の上」で行う工法)
➌同じ遮熱材・工法の場合、代理店は除外、自社が大元となって展開する商標登録元・特許技術取得元・販売元の会社12社です。
※その中で、特許技術取得、商標登録等されているオリジナルの工法(自社開発の工法)で、代理店の数や施工事例等から実績が多いと判断される会社を紹介。(上記の会社の中ではこの3工法となります)