暑さ対策として注目される遮熱シートは、屋根や壁だけでなく、床に施工することでも効果を発揮します。床からの輻射熱や熱の伝導を軽減することで、室内環境の快適性が向上しやすくなります。
本記事では、床への施工のメリットや具体的な方法、失敗を防ぐための注意点を解説します。
床に遮熱シートを施工することで、外部から伝わる熱を遮断し、室内の温度上昇を防ぐことができます。とくに夏場は、床面からの輻射熱が室内全体の温度に大きな影響を与えるため、遮熱対策は非常に有効です。床からの熱を遮ることでエアコンの効きがよくなり、冷房効率が向上します。これにより電力消費の抑制にもつながるため、経済的かつエコな住環境の実現に貢献します。
遮熱シートを床に敷設すると、太陽光によって蓄熱された地面や建物下部から伝わる熱が室内に届きにくくなります。これにより、夏場にありがちな床面の高温化を抑えられ、素足で歩いたときの不快感も軽減されます。また、小さなお子様やペットがいる家庭では、床の温度が高すぎると健康への影響も心配ですが、遮熱シートの施工によりそのリスクを下げることができます。快適な住環境を足元から整えることができるのです。
遮熱シートは、その薄さと柔軟性からさまざまな床材との相性が良く、フローリングや畳の下、あるいはカーペットの下にも施工が可能です。リフォーム時にも取り入れやすく、床材の上からでも目立たず施工できるのが利点です。特に既存の住宅に後付けで遮熱対策を施したいと考える方にとっては、汎用性の高い施工方法として注目されています。ただし、床材や下地の状態によっては施工に工夫が必要な場合もあります。
床に遮熱シートを施工する前には、まず既存の床の状態をしっかり確認する必要があります。床が水平であるかどうか、下地が劣化していないか、湿気がこもりやすい場所ではないかといったチェックが重要です。
下地の状態が悪いと遮熱効果が十分に発揮されなかったり、施工後に床鳴りが生じたりする可能性があります。また、床下の通気性や断熱材の有無によっても施工の仕方が変わるため、現場の状況を事前に把握しておくことが欠かせません。
床への遮熱シート施工は、比較的シンプルな工程で進められます。まず床を清掃し、ゴミやホコリを取り除いたあと、遮熱シートを部屋の形状に合わせてカットします。
重ね張りする部分は適度に重ね、隙間ができないように配置します。次に、床面にしっかりと密着させるために両面テープや専用の固定材を用いて仮止めを行い、全体を均等に貼り付けます。浮きやたわみがないように丁寧に貼ることが、仕上がりの美しさと性能の維持に大きく関わってきます。
遮熱シートを床に施工したあとは、上からフローリング材やクッションフロアなどの仕上げ材を敷くことになりますが、その際には相性や耐久性を考慮する必要があります。例えば、遮熱シートの上に柔らかい素材を載せる場合、歩行時にシートがずれる可能性があるため、しっかりと固定する対策が必要です。また、畳や天然素材を使用する場合には、通気性を確保しながら施工する工夫も求められます。
仕上げ材との組み合わせ方を慎重に検討することで、遮熱効果を最大限に引き出すことが可能になります。
遮熱シートにはさまざまな種類がありますが、最も一般的なのがアルミ蒸着タイプと多層構造タイプです。アルミ蒸着タイプは、表面に金属を施すことで赤外線を反射し、熱の侵入を防ぐ働きがあります。軽量で施工しやすいため、住宅の床施工にもよく使われています。
一方、多層構造タイプは複数の素材を重ねることで、遮熱だけでなく一定の断熱性能も持ち合わせているのが特徴です。求める効果や予算に応じて、どちらのタイプが適しているかを選ぶとよいでしょう。
遮熱シートの中には、断熱材と一体化した製品も存在します。これらは遮熱と断熱の両方の機能を兼ね備えているため、より高い熱対策効果を求める場合に適しています。しかし、その分厚みが増すため、床材の仕上がり高さや扉との干渉に注意が必要です。
遮熱機能だけを求める場合は薄型タイプで十分なケースもありますが、冬場の冷気対策なども含めてトータルで判断することが重要です。設置場所や使用目的によって、適切なタイプを選ぶようにしてください。
床に遮熱シートを施工する場合、その場所によって求められる性能が異なります。たとえば、住宅であれば遮熱と居住性のバランスが重要ですが、ガレージや倉庫などではより高い耐久性や耐荷重性が必要とされることがあります。
また、直射日光の当たる場所や湿気がこもりやすい場所では、防水性や防カビ性能も考慮する必要があります。遮熱シートは製品ごとに特徴が異なるため、施工環境に最適な仕様を選ぶことが失敗のない施工につながります。
遮熱と断熱は似て非なる性能であり、これを混同してしまうと期待した効果が得られない場合があります。遮熱は主に赤外線などの熱線を反射して熱の侵入を防ぐのに対し、断熱は熱の移動を遅らせることが目的です。
床に遮熱シートだけを施工したとしても、断熱材がなければ冬の冷気は遮れないこともあります。用途に応じて遮熱と断熱を組み合わせるなど、性能の違いを理解したうえで計画的に施工することが大切です。
遮熱シートの施工において、床材との相性を無視すると、施工後にシートが浮き上がったり、歩行時にきしみ音が出ることがあります。特に薄型の遮熱シートを使用する場合、しっかりと固定しなければ浮きやズレが発生しやすくなります。また、床材との接着面に凹凸があると密着性が低下し、仕上がりにも影響します。
このようなトラブルを防ぐには、事前に床材の状態を確認し、適切な施工方法を選ぶ必要があります。
遮熱シートを床に施工する際にもっとも注意すべきポイントのひとつが、継ぎ目や隙間の処理です。これらが不十分だと、熱の侵入口が生まれ、せっかくの遮熱効果が大きく損なわれてしまいます。
特に部屋の隅や柱の周辺など、細かい部分の施工が甘くなりがちです。遮熱効果を最大限に引き出すには、隙間なくしっかりと貼り合わせることが重要であり、必要に応じて専用テープで補強するなどの工夫も求められます。
※参照元
日刊工業産業新聞公式サイト(2024.04.17付ニュース)(https://biz.nikkan.co.jp/sanken/shingizyutu/36shingizyutu.html)
※このサイトで紹介している会社は、Googleで2024年3月30日時点で「遮熱工事」で検索し表示される会社のうち以下の条件に当てはまる会社
➊遮熱工事の具体的な内容(遮熱材や工法の情報)が公式サイトに記載のある会社
➋施工場所の業務や工場の稼働などに影響のない工法(建物内ではなく「屋根の上」で行う工法)
➌同じ遮熱材・工法の場合、代理店は除外、自社が大元となって展開する商標登録元・特許技術取得元・販売元の会社12社です。
※その中で、特許技術取得、商標登録等されているオリジナルの工法(自社開発の工法)で、代理店の数や施工事例等から実績が多いと判断される会社を紹介。(上記の会社の中ではこの3工法となります)